ペットを作るには(4)

Gonbe Shan

2008年09月06日 16:48


さて、少し実際のペット作りのお話をしたいと思います。

お弟子志願の人が製作したネコをモデルに、どうすれば販売できるレベルのペットになるか。。。
その辺の実践的な内容を書きたいと思います。

まず志願者の人が製作したネコと、それを元にGonbeが少し加工したネコです。



左がGonbeが加工したもの。右がオリジナルです。
背中に変な三角錐が着いていますが、これはフリームーブ系のスクリプトを動かす場合、オブジェクトの正面の向きを合わせておかないと、正しく移動してくれないからです。
彼が作ったオブジェクトだと、逆立ちした格好で動き出してしまうので、ルートに向きを合わせた三角錐をつけています。

違いは足にあります。
オリジナルは歩くアニメーション効果の為に、各足が2本ずつあり、可視化と透明化を交互にスクリプトで切り替えて、足が動いているように見せています。
このテクニックは、良く使われるもので、色々なペットでもこのような形態の物が見られます。

対して、Gonbeの物は足は4本です。
各足は全体の動きに合わせて、足自体が前後に動いて歩く姿を示します。
ペンちゃんの足の動きや羽根の動きも同様になっています。

単に歩き回るだけ。。。又は単純にフォローとしてアバターの傍にいるだけならば、オリジナルの作りでもかまいません。
しかし、高度な動きまで表現しようと思ったら、この方式では行き詰まります。

具体的には、今回のネコには次のダイアログのような機能を入れてみました。



停止(ステイ状態)、歩く、走る、寝ると言う基本動作パターンの4つです。
オリジナルの場合、停止と歩くは実現できるでしょう。
しかし、次のような動画の動きをさせるのはどうでしょうか?



もしオリジナルでも、このような動きを取り入れようと思ったら、今の足の数では足りなくなります。
更に今回は、寝ると言うポーズも入っています。



このように、高機能なペットの場合は、色々な行動パターンを再現していきます。
こうなってくると、単純にオリジナルのような構造では実現できなくなってしまいます。

つまり、本物と同じように手足を動かすスクリプトで対応しないといけないと言う事です。

このオリジナルにはもう一つ問題点があります。



今回パーツはオリジナルのものをそのまま使っています。
写真の後ろ足のパーツですが、オブジェクトの中心点(赤、青、緑の矢印の中心)が、足のパーツの中央にあります。
本来足は、足の付け根を中心に回転するように動きます。
今の作りでは、足を前後に回転させると、付け根の位置がズレてしまします。
そこで今回は内部的に、回転させると同時に付け根の位置も合うように、同時に動かして調整しています。

仮にパーツの中心が足の付け根の部分に来ていたら、足は単純に回転動作させるだけで済みます。
スクリプトの負荷も当然軽減されると言う事です。

更にステイ状態の時は座ったポーズにしたい場合、今の後ろ足の形状では不自然になってしまいます。
歩いている時、走っている時、寝ている時、座っている時と、基本パターンだけでも色々な形状に変化していきます。
それらをちゃんと反映できるモデリングをしないと、無駄にスクリプトに負担をかける事にもなりますし、不自然なポーズになってしまう事にもなります。

ペットにどのような動作をさせたいのか?。。。と言う事は最初に決めておく必要があります。
モデリングの最初の段階で、簡単なスケッチ等を書いて、実装すべき機能に合わせたポーズを書き出し、それらを一番効率的に実現できるパーツ構成を考えて作っておく必要があるのです。

そして、その際には、スクリプトで動かせる動きとは?。。。と言う事も、常に頭の隅においておかないと、適正なモデリングも出来ないと言う事です。

ふ~。。。けっこう面倒な仕事ですよね。^ ^;
さて、お弟子候補さんはついてこられるでしょうか?
スクリプトのお勉強メモ